デス・フロム・アボーヴ(挨拶)
ドイツ語版キノの"Der Land der Zweisamkeit"読了。日本語版の「二人の国」に相当するチャプターですね。Zweisamkeitってのはどう日本語にしたらいいのか分かりませんが、まぁ「二人でいる状態であること」くらいの意味だと思います。Einsamkeitだと「孤独」
毎度の事ながら、翻訳の精度はさすがドイツ人といったところでしょうか。万事そつのない丁寧な訳でした。
ただ一点気になったのは、酒が入った後の旦那の台詞の訳でしょうか。日本語だと「私も、昔はモトラドに乗ったことがあるんですよ。エンジンがこう、横にどかんって二つ出てるヤツねぇ……。自慢じゃないけど、うまかったんですよ」となっているんですが、ドイツ語版だと
Früher bin ich übrigens auch Motorrad gefahren, das war vielleicht eine Maschine ... die hatte fette Zylinder, ich sag's ihnen. Ich will nicht prahlen, aber sie war einfach toll!
ところで、以前は私も同じようにモトラドに乗ってたんですよ。確かエンジンが一つで……でかいシリンダーがついたやつでね、それ。自慢するんじゃないですが、エンジンはとにかく最高でしたよ!
"das war vielleicht eine Mashine"が正確に訳出できてないかもですが、疑問に感じたのはそこでなくてダンナがモトラド本体でなくてエンジンを誉めている点です。
"Sie war einfach toll!"の主語sieは女性名詞に対する代名詞で、かつ動詞であるwarは主語が一人称・三人称単数の場合にのみ用いられるものなので、sieは同じく女性名詞であるeine Maschineを表してると思われるんですが……おそらく日本語の「うまかった」を「上手である」という意味でなく「良かった」という抽象的な意味として解釈してしまったんでしょうね。
ちなみに、エルメスの「内政干渉 → ナイゼル艦長」の言い間違えは"Einmischung in interne Angelegenheiten → Einweisung in angelsächsische Internate"となっております。日本語に再翻訳すると「国内問題に対する介入 → 釣り竿ザクセン人の寮に住まわせること」になりましょうか。
釣り竿ザクセン人って何だよ。
……いや、音としては似てるけどさ。アインミッシュンク・イン・インテルネ・アンゲレーゲンハイテンとアインヴァイズンク・イン・アンゲルゼクジッシェ・インテルナーテ。……片仮名にしてみたら似てない気がしてきた。
あとは『さよなら絶望先生』を購入。同志某がいたくお気に入りの作品だということで、それじゃあ試しに読んでみるべよと三巻まで纏めて買ってしまいました。
ちなみに、しえさんはそのタイトルから或るデンマーク人を思い出してしまい、別の同志に「『絶望先生』ってさ、キェルケゴール片手に楽しめる?」という頓狂な質問をしたことがあります。帰ってきた答えはなんと「イエス」だったので、あのデンマークのせむし男が大好きなしえさんは勇んで今回の購入に踏み切った次第であります。
まぁ、そうして岩波版の『死に至る病』を片手に今まで読み進めてきた次第なんですが……ウソつきやがったなこの野郎 (※常識的に考えてウソです)
ちなみに、といっても皆さんご存知でしょうが、しえさんは捻くれた男です。
ギャグ漫画に分類されるらしい(人間の心に深く切り入った哲学書じゃないのか? キリスト者的な絶望はどこに行っちゃったんだ?)この『さよなら絶望先生』も、捻くれた視点で読んでみると妙な部分で吹き出したり、笑いをこらえる事ができなくなってしまったりします。
どういう部分かって? 共産ネタに決まってるじゃないですか。
……稀にどうしてアニメ化なんて暴挙が罷り通ったのかと不思議に思うほどにヤバいネタが紛れ込んでるんですが、その中でも共産ネタの輝き方だけはピカ一だと思います。文革を「最低限文化的ですらない革命」と評したり、レーニンの名前がやたらと出てきたり。
次は何だ。五ヵ年計画か。コサック集団移住か。ドイツ人入植者排斥運動かそれともカティンの森(以下略)
とまぁ、ここまで書いてるうちに全体としてどういう話だったのか思い出せないという事に気付いたりしましたが、とりあえず霧はカワイイ。
その後、一緒に買ってきた『ガンスリンガー・ガール』の最新刊を読了。
こっちのがよっぽど絶望じゃねぇか
いつからお涙頂戴シナリオ/ラヴコメになっちまったんだよウワー (←滂沱しながら)
|