『リリアとトレイズ 私の王子様』用語辞典
暫定しかも役には立たない版
「私の王子様」 >副題
下巻の終わりに、これがリリアから見たトレイズのことではなくて、後述するウィーゼルから見たトレイズを表していた事が明らかになる。
アッー!
「アサルトライフル」 >上P38
トラヴァス少佐御一行が使う事になる、今作の目玉。
時雨沢氏によればモデルはAK47S(AK47の空挺仕様)であるが、「鉄パイプを曲げて作ったようなストック」という本文中の表記からは東独改良型のMPi-KMS72が連想させられる。MPiは鉄パイプじゃなくてワイヤーだけど。
AK47は「カラシニコフ」の愛称でも知られるベストセラーで、その構造がシンプルかつ冗長性があり、おまけに製造単価が安く、1947年に開発されて以来世界中で使用され続けてきた鉄砲。数多くのコピー品、バリエーションなどが生み出された。
ちなみに、下巻51ページでエドが使用したドラムマガジンは、AK47の亜種であるRPK用に設計されたもの。RPKがAKを分隊支援火器としてアップデートされたのに併せて、装弾数を確保するために75発分もの容量を持つ。もちろんAKとも互換性がある。
「囚人四十二番」 >上P53
サイコキラー。本編では便宜上「ウィーゼル」という名前が用いられている。「鼬」の意。
悪役としてこれでもかという程にカリカチュアライズされた性格など、あまりに薄っぺらすぎる人物描写が目に付くヒト。大藪春彦小説に出てきそうな感じ。
表向きの職業は医者で、その裏で男の子達を60人ばかり殺害したりアッーしたり解体しているうちに、懲役420年を喰らって刑務所に収監。しかし、ある日お偉いさんからトレイズをアッーするようにとの依頼を受け、再び世界へ。
アンドレイ・チカチーロとエド・ゲインを足してマルキ・ド・サドを掛けたら、こんな人間が出来上がるだろうか。しかし女性に対しては意外と紳士で、彼のアツく語る恋愛観はリリアすらも驚嘆させるほど。
最後はトレイズと熱い抱擁を交わしたまま列車から転落。生死は不明だが、かつての時雨沢作品には見られなかった性的倒錯者という強烈なキャラクターによって、彼の名前は読者の心にトラウマじみた印象を植え付けた。
「イルデスタ」 >上P63
スー・ベー・イル海軍の大型戦艦。マティルダ王女様の足。
船名はイタリア語? 筆者はイタリア語が分かりませんので、語義などは不明。どなたかご存知でしたらご教示ください。
モデルはアイオワ級。現実のアイオワ級戦艦は第二次世界大戦から使用されている型だが、予備役扱いになっても何故か戦争が起こるたびに駆り出され、とうとう湾岸戦争にまで顔を出す事になった。言わば歴戦の強者。
その度に多少の改修が施されてるとはいえ、半世紀に亘って通用する基本設計が優秀であることには何の疑いも無く、『リリトレ』本編に於いてどのような活躍をするのかと誰もが期待したが――結局ただの顔見せに終わった。
というか、この世界にも海軍あったのね。
「爆撃機」 >上P79
モデルはB-17。爆撃機としては初の排気タービン式過給器を装備しており、高空性能が飛躍的に向上した名機。
勿論本編では爆撃などせず、単純にアリソン親子の足として使われる程度。……ところで、ちゃんと着陸したんだよな。落下傘降下とかじゃないよな。
「ディーゼル機関車」 >上P88
下巻のイラストによると国鉄のDD51。
鉄道は分からないので誰か気の利いた解説を寄稿してくださる方募集。
「カメラ」 >上P98
モデル不明。
カメラには疎いので、誰か気の利いた解説を寄こ(ry
(26680409追記)イラストに騙された名無しさんからの情報提供によれば、アメリカのユニバーサル・カメラ社製『マーキュリー』ではないかとのこと。ユニバーサル・カメラオリジナルのフィルムマガジンを使用するI型と通常の35mmパトローネ仕様のII型があるそうだが、本編中の描写に拠ればI型のほうであろう、というのが氏の意見である。
その特徴的な形を呈している「ロータリー・シャッター」という機構は、シャッタースピードを20世紀初頭のカメラにしては著しく速いレベル(1/1000秒)まで設定できたという。ただ、その構造上、一枚のフィルムの全ての面に対して露光時間を均一にできなかったという欠点があったらしい。
「サブマシンガン」 >下P41
ほとんど捨て駒状態で散っていった、ロル憂国戦線の方々の主力武器。モデルはステン短機関銃。
元々は第二次大戦中、イギリスがドイツ軍の採用したサブマシンガンの有用性に目をつけて開発されたものだが、その外見は不恰好で、太さの違う鉄パイプを何本か組み合わせたような様を呈していた。これは当時イギリスがドイツの通商破壊作戦で財政難に陥っていたために、生産性を重視せざるを得なかったためだと言われている。
見栄えはともかく、結果として最少の板金・パイプ加工などで製造できるお手軽サブマシンガンとして一応の完成を見たステンガンは、製造単価の安さも相まって爆発的に普及し、レジスタンスにも供与されたほか、世界各国の町工場でほとんど勝手にコピー生産されたりした。
ちなみに、時の女王陛下は「こんなギャング御用達みたいな鉄砲なんてイラネ」と仰ったそうだが、実際にそういう使われ方をした例が多いのは悲しむべき事であろう。――リリトレ本編に於いてさえそうだったから。
「攻撃機」 >下P151
アリソンが繰り出した最終兵器。モデルは第二次大戦中にドイツで開発されたJu-87G-1型。
Ju-87は元来急降下爆撃機として設計されたが、後期には対戦車機関砲二門を装備した対地攻撃機として改修されたG-1型が開発された。急降下ブレーキを廃止し、より近接航空支援に特化した仕様となっている。
G-1型の特徴である37mm対戦車機関砲(対空機関砲から転用)は当時の主力戦車の上面装甲を破壊するのに充分な威力を有しており、『リリトレ』本編で列車の連結器をブッ千切るくらいの事は朝飯前。ただし、装弾数は各門6発ずつで、出撃一回につき合計12発が発射できるのみ。また、その低速性から対空攻撃に対する脆弱性を露呈することもあった。
ちなみに、アリソンが攻撃機に搭乗するのはおそらくこれが初。
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